大判例

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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1894号 判決

所論は本件公訴事実が被告人の麻薬取締法第四十七条に定める報告義務に違反し、また同法第十六条に違反して秘匿蔵置した麻薬は起訴状目録記載の通りであるとするに対し、原判決が公訴事実の認定に当り右麻薬中から阿片錠、外用コカイン錠、弱ナルスコ注射液、バピナール注射液の四種を除外したことを非難するものである。よつて原判決挙示の証拠を検討するときは、被告人が麻薬取締法に定める報告義務貯蔵義務に違反した麻薬は起訴状目録記載の通りであることが認められ、あえて右四種の麻薬を除外して認定すべき事由を見出すことができないのである。原判決は右の除外したことについてその理由を明示していないからこれが判断に苦しむものであるが、若し右四種の麻薬が被告人の長男良秋の所有にかゝり被告人の所有に属しないことを理由として除外したとすればそれは早計であり事実誤認の疑いが存するものといわなければならない。蓋し麻薬取締法第十六条第四十七条にいう「所持」は所有権又は直接的支配関係を前提とするものではなく事実上支配可能の状態を指すものでありまたこれを以て足るものと解すべきであるからたとえそれが被告人の所有に属しないとしてもこれを以て直ちに被告人が右麻薬取締法各本条の義務を免れるものと即断することはできないのであつて、よろしく被告人がこれに対し事実上支配している関係にあつたか否かを審理し、しかる後これが判断を為すべきものと解される。されば原判決が右四種の麻薬を除外して事実を認定したことは帰するところ審理不尽による事実誤認の疑いが存するか若くは法令の解釈適用を誤つた違法があるといわざるを得ない。而してこのことは判決に影響を及ぼすべき筋合というべく即ち論旨は理由がある。

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